おかしな幽体離脱

あの幽体離脱とは違うと思う。

悩みごとがあると、その夜は幽体離脱がはじまる。ズンと体が脱落した感覚のあと、私の幽体の１人が枕元に現れる。そのあとだ。２人、３人、多いときは10人のときもある。

その夜は親友の相談を受け悩んでいた。
妻子ある男性から交際を申し込まれたらしい。
今、私の枕元には３人の幽体がそれについて話し合っていた。

「不倫なんて許せない！」

「彼女が幸せならそれでいいじゃん」

「結局のところ背中を押してほしいだけなんじゃないの」

そこに厄介な幽体がもう１人現れた。

「そんなことよりプリン食べない？」

食いしん坊の私の幽体だ。

「人の幸せより自分の幸せ。ねっ」

結局、あとの３人もそれに同意してしまった。女はスイーツに弱いのだ。

「プリンうっっっま！」

もうすぐアラサーの私。
自分の幸せ、考えなきゃね。

ああ、早くこの独身生活から離脱したい。