この手

私の目の前が突然上に飛んだ？！

次の瞬間現れた大きな手を掴んでいた。

仕事で初めて降り立った駅の改札口。
少し遅れぎみだったので急いで抜けたら地面が突如消えた？！

→はじめの状況へ戻る(笑)

段差に気づかず転びかけたのだ。

この手がなかったら…
考えたら怖くなった。
『ありがとうございました。』
お礼だけ済ませて私は仕事先に向かった。

彼はドラマに出てくるようなイケメンではなかったけど(笑)ぎこちない笑顔が印象に残こる優しそうな人だった。二度と会うことはないと思っていたので、再会したときは驚いた。
見知らぬ街。のれんに年期の入ったお蕎麦屋さんが目に留まった。狭い店内に彼は一人で座っていたので相席になった。
『縁がありますね』自分から発しながら真っ赤になった彼を見て私も真っ赤になってしまった。

それから30年、今でも手を繋いでいる。
彼のこの手を 温もりをいつも私は信じている。