神様はみえない

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ねえ、どうしたってぼくたちはわかりあえっこないのでしょう。それはほんとうに悲しいことかな。ぼくはそう思わないよ。きみがぼくをわからないぶんだけぼくは自由だし、ぼくがきみをわからないぶんだけきみは魅力的なんだよ。わるいことなんかひとつもない。あ、今度はいいことしかないなんて気持ち悪いって顔をしているね。きみのそういうところ、好きだな。人間のにおいがする。雨が降って風が吹いて雪が舞ったって、ぼくはきみを見つけられるんだ。そういうのマジでいらない、なんて言われても、だってほんとうなんだよ。ぼくたちはわかりあえない、一生。死んだらあの世で会えるかも、なんて思いをどうかこれっぽっちもしないでいてほしい。きみの言葉に住むから。記憶のうちにあるから。この世でいちばん尊いもの。それはきみのなかに存在することを、どうか覚えていて。ほんとうに大切なものは空気と似ていることもね。いつも見守っているよ。
ファンタジー
公開:18/04/08 22:58
更新:18/04/09 16:59
短編 ショートショート 400字物語 小説 ファンタジー 一話完結

yuna

400字のことばを紡ぎます。

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