等身大の鏡

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夏休みも半ば、今日は等身大の鏡がやってくる日。
母とともに昼食を済ませると私はおすましをする。
鏡に映ることで自分と相対することになるのだから醜い部分や、汚い部分、ねじ曲がった部分など微細に映し出され、嫌というほど自己嫌悪している部分を再確認させられることになるんじゃないかと不安だった。化粧台でお気に入りのヘアピンを刺し気持ちを取り繕う。蝉の声が煩わしい。
3時も過ぎ、いつもならお菓子を食べたくなる時間とちょっと、ついに呼び鈴が鳴る。母の手によってドアが開かれた。
そこには確かに笑顔の私が立っていた。そう、笑顔の時の目尻が嫌いなのだ…そう思いつつ私と同じように7対3で分けている髪の毛に目をやる。と、そこには色違いと言えど私のお気に入りのヘアピンが!あの遊園地で売ってるヘアピン!
「ようこそ、お姉ちゃん!」
私は玄関を下りてキャリーバックを持つ彼女の手を取った。
微笑む彼女が可愛く思えた。
青春
公開:18/04/08 22:49

ひさみん

ショートショートというよりも短編小説、掌編小説という感じになってしまうかもしれません。
自分のペースでやっていこうと思っております。
ショートショート・ガーデンにアクセスする頻度は高くありません。
1回のアクセスで多くても10作品見るかどうかです。すみません。

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