封印したい記憶

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 うちの洗面所には大きめの姿鏡がある。
 いつも両親や姉が出かけて居ない時に下着姿で鏡の前に立つ。
 足を前後に配置し、前かがみ気味に鏡に平行に両腕をくの字より深く曲げ両手をグーにして力を込める。
 うん、今日も前腕筋は絶好調だ。
 次に足は平行に近い位置に戻し横向きになって少し足を曲げ、おへその前で右手で左手首をつかみ上背をそらし気味に力を込める。
 胸筋も絶好調。
 そしてまた鏡に平行の体勢に戻って両腕を頭の上にあげ内側に曲げ力を込め力こぶがもりあがる。
 うんうん、上腕二頭筋も絶好調!
 人知れず「くふふふふ」と笑う。
 すると次の瞬間。
「…かっこいいわよ。」
 斜め後ろ、廊下のリビングルーム側から母の声がぼそっと聞こえた…。
青春
公開:18/04/08 22:44

ひさみん

ショートショートというよりも短編小説、掌編小説という感じになってしまうかもしれません。
自分のペースでやっていこうと思っております。
ショートショート・ガーデンにアクセスする頻度は高くありません。
1回のアクセスで多くても10作品見るかどうかです。すみません。

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