有害な青空
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僕の生まれた村にはある迷信があった。「青空が幸せを奪っていく」というものだ。よく晴れた日には悪いことが起きる。青空が僕の幸せを誰かに勝手に渡してしまうのだ。反対に、雨の日には誰かの幸せを僕が受け取る。そうして世界は均衡を保っているのだ。幼い頃母にそう教えられた。
母は、僕の父にあたる貧しい男との生活に耐え切れず、僕を連れて東京の実家へ帰った。僕が小学3年生の頃だった。転校した先で、僕は全く友だちができなかった。どしゃ降りの日にいい天気だねと言ってみたり、てるてる坊主を逆立ちさせて吊るしてみたり。そんな僕はよくからわれた。それでも僕は、母が間違っているとは思えなかった。
あれから30年。母が死んだ。もともと身体が丈夫な方ではなかったが、あまりにも突然の出来事だった。母が死んだのは梅雨の時期で、連日雨が降り続いていた。僕も東京に染まったのだな。そう思ってふと足元に目をやった。
「あ、10円だ」
母は、僕の父にあたる貧しい男との生活に耐え切れず、僕を連れて東京の実家へ帰った。僕が小学3年生の頃だった。転校した先で、僕は全く友だちができなかった。どしゃ降りの日にいい天気だねと言ってみたり、てるてる坊主を逆立ちさせて吊るしてみたり。そんな僕はよくからわれた。それでも僕は、母が間違っているとは思えなかった。
あれから30年。母が死んだ。もともと身体が丈夫な方ではなかったが、あまりにも突然の出来事だった。母が死んだのは梅雨の時期で、連日雨が降り続いていた。僕も東京に染まったのだな。そう思ってふと足元に目をやった。
「あ、10円だ」
その他
公開:18/04/10 17:47
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