吊り橋

ある日、鶴が死んだ。ツルっと転んで頭を打って死んだ。私は哀れに思い、ツルハシで岩盤を削り、鶴の墓を作って丁重に葬った。するとそこから弦がニョキニョキと生え、対岸を結ぶ橋が出来た。きっと鶴の恩返しだろう。
人々はこの橋を愛称を込め、弦橋と名付けた。それから数年の時間が経過した。するとこの橋には、まことしやかな噂が生まれた。好きな異性と一緒にこの弦橋を渡ると恋愛が生まれると言うものだ。学者達はこの現象を吊り橋効果と名付けた。それが発表されると、モテない男達は、良い女を釣ろうと合コンで出会った女性をその弦橋に連れて行った。

どこへ行くの
あの橋を渡るだけさ
私、怖いわ。少し歩いただけで、すごく揺れるんだもの
大丈夫、俺が付いているから。
・・・何だか少し酔ったみたいだわ。
俺にかい
そんな訳ないでしょ。馬鹿
そろそろかい
何が
こっちの話さ。（つれないなぁ。本当に恋愛の効果があるのだろうか）