その手の影

大学の学園祭で
おかしな衣装の人が
青い水の入った大きな容器に
上から何かを落として説明していた…
気になって説明を聞こうと前に行くと
一生懸命⁉何かを伝えようとしてる…
受験生の私には理解できなかった
けど…彼の手から落した物が
綺麗な波紋を起こしていく…

あなたと出逢い
『どんなにお互い忙しくても
　朝の食事は必ず家族でとろう』
この言葉であなたに決めたのよ…
くりくりの癖っ毛も
病室で切る事になって…ごめんね…
楽しかった〜…
私生活は不器用で…人一倍心配性で…
子供達にも自分で言えばいいのに
私に言わせて感心してみせたり…
私の作った料理を笑顔で美味しそうに
食べてくれたり…
あなたが帰って来た時の匂いも…
カーテン越しの影絵遊びも…
あの時
あなたの手から起きた
波紋が私の世界を広げてくれたの…
ありがとう…おかしなあなた…
あなたと出逢えて良かった…
また…いつか…見せてね…