彼のついた嘘

シュンシュンシュン…お湯が沸く
コポコポコポ…珈琲を入れる
トースターにはバターを待つパン
とってもいい匂いに満たされる
本日の付け合わせはサラダとベーコン

一月前、カバン一つで彼の家に転がり込んだ。
初め彼は驚いていたけど何も聞かず私を受け入れてくれた。

彼の顔を覗きこんで『お気に入りのお店で買ってきたの。朝食はパンでいい？』
『うん』笑顔の彼、右の眉が少し上がった。

あっ、嘘をついてるサイン(笑)

嘘をつくときの彼の癖はお見通し。なのにあの日から私の作る朝食を嬉しそうに食べてくれているのはなぜ？
彼の嘘は優しさ？ほんとは嫌なのかな…

でもね、私と向かい合っているあなたの右眉は上がってないから考えるのはやめたの。

たぶん二人にとってそれは些細なこと。彼の嘘はお見通しだけど(笑)嘘つきな彼は私が好きで、私も彼が好きにかわりはない。

本日もいい香り
『では、いただきま～す』