傘蔵くん

　ねぇ
　あなた…
　あなたと出逢えて楽しかったゎ
　いつも…話を聴いてくれて…
　　　　　ありがとう
そう言って母は目を閉じた…
それから父は
しばらく病室から出て来なかった…

皆はお前の家は変わってるなって…
家の日課は
毎朝決まった時間に家族で食事をする
その時しか…家の中で父を見ない…
ある時母が
　パパはねママが
　お地蔵さんみたいに
　手を使わないでさせる傘が
　あったらいいのにねって…
　そう言ったら
　研究所を辞めておじいちゃんの
　傘屋さん継いだのよ…
　皆で応援しようね‼
って
そうして出来たのが
傘蔵くんって訳…
大量生産は出来ないけど
お金持ちには大人気だった‼

母が入院してから日課は病室になった
　テレポーテーション出来たら
　いいのにね…
その日から父は病院と工場
家に帰って来ることはなくなった…
僕は今
父の意志を継いでテレポーテション
する傘を作っている