彼とコーヒー2

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オムライスを頬張りつつ、全神経を集中させる。彼は一足先にコーヒーにありつき、人助けの話をはじめた。

たとえば、海に溺れている人がいるとする。人を助けて自分が死ぬことはしばしば正義のように描かれる。けれど、それは自分だけでなく、自分が死んで悲しむ周囲の人をも巻き込む行為だ。助けられた本人は罪悪感を背負い続ける。結局、共倒れになってしまうんだ。だから、一番大事なのは自分でいい。自分が可愛くていいんだよ。

きっぱりとそう言った。社会。自分が生きている場所の正義の尺度が、だんだんと、壊れていく。破壊は創造の母だと岡本太郎は言った。これから見える景色はどうなるだろう。

ある人は傲慢だと言うかもしれない。それでも私は、彼の眼差しを、言葉の響きを美しいと思った。大抵の場合、美しいものは傲慢なのだ。私はつい憧れてしまう。自分が可愛くていいんだよ。魔法の呪文を練習するこどもみたいに、繰り返し唱えた。
その他
公開:18/04/05 22:45
更新:18/04/08 22:01
小説 短編 ショートショート 400字物語 一話完結 各話完結 連載

yuna

400字のことばを紡ぎます。

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