叶えたまえ

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「神も仏もいなかった」
死の床でようやく悟った。願いは叶わず私は救われない。

「おいおい、なんか俺らいないことにされちゃってるし。」
「マジかよ、何様だよじーさん。」
言葉使いはチャラいが、仏陀とイエスにしか見えない男が眩い光に包まれてベット脇に立っていた。
「じゃあ何?じーさんの願いが叶えば神も仏もいるわけ?」
「叶えてやるよ!言ってみろよ。」
本当に神と仏か?本当に叶えてくれるのか?
「では、この病気を完治させ、20歳まで若返らせ、絶倫で美女に囲まれ、清楚で上手な妻を持ち、億万長者で全人類が私にひれ伏すような人間に…。否!いっそ神になりたい!」

「神だって。」
「付喪神でいんじゃね。」
「あれは一種妖怪だけどなー。」
「俺のお気に入り、キャベツの千切りピーラーは?あれ、便利よ。」
「じゃあじーさんは、千切りピーラーの付喪神にしてやるよ、特別に。」

私は悟った神も仏もひどい。
ファンタジー
公開:18/06/19 22:57

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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