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夜中に尿意を催してトイレに向かい、暗がりの廊下を歩きトイレの扉の前でスイッチをまさぐると人の手のような違和感を感じて「わあっ」と叫ぶと、暗闇から「すみません」と声がした。


友人数名と一緒に出ると有名な廃墟に肝試しに来て、懐中電灯で中を照らしながら荒れ果てた床の上を歩いていると、何かにズボンの裾が引っかかって、カギ状に裂けたので「あーあ、これお気に入りだったのになあ」とよく見ると、どす黒く変色した爪が引っかかっていた。


夜道を散歩していると街路樹に白い手袋が引っ掛けてあり、誰かが落し物を拾ってここにかけたのだろうなと見上げると木の枝いっぱいの白い手袋が僕に向かって手招きをしていた。


「こんなに遅くまでどこをほっつき歩いてたの?若い娘が暗い夜道を一人で歩くなんて危ないじゃないの!」と我が家の玄関を開けると見知らぬオバサンが狂ったように喚き散らした。
ホラー
公開:18/06/19 19:04

よもつひらさか( 山の中の森 )

短編小説を主に書いています。
収録作品
「五分後に驚愕のどんでん返し」ー記憶喪失ー(河出書房新社)
「ためしに怪談聞いたら、やっぱり幽霊いるし怖すぎた。」ー探し物ー(竹書房)
「千人怪談」-さよちゃん-見られている-(二作品) (竹書房)
「5分後に緊迫のラスト」-マリッジブルー(河出書房新社)
書店、Amazonにて発売中
「エブリスタ」投稿しています。
第10回ノベリスタ大賞 最優秀賞受賞「ヤマモトヒロシ」
「怖話」にて怖い話を投稿しています。
 

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