予定外

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夜中、目覚ましが鳴る。
一昨日半額になっていたパンを、異常が無いことを確認してよく焼く。
卵のストックが切れていたので、ベーコンだけ炒め、昨日の夕飯の残りを電子レンジで再加熱する。
煙草を咥え、少し高級なインスタントコーヒーを淹れる。ライターが見当たらない。
昨日の新聞を広げ、天気予報だけを入念に確認する。
台所が焦げ臭い。


仕事場へと夜道を車で飛ばす。
換気扇を回してもパンの焦げた匂いは抜けなかったが、今日は窓を開けてきた。帰る頃にはしっかり換気されているだろう。
車を止め、崖の上に降り立つ。
天気予報では穏やかな一日だが仕方ない。自宅の換気をしたいのだ。
男はふうっと強くため息を吐くと、車を飛ばし、帰路についた。

夜が明ける頃、到着した自宅の床は強風のせいで砂だらけになっていた。
左右で違う靴下を脱ぐと、テレビの前に寝転がった。
天気予報では、予定外の春一番を報じていた。
ファンタジー
公開:18/06/19 12:11

TAMAUSA825( 東京と神奈川 )

登場することが趣味です。

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