笑う箱

ガサッ…

クローゼットの奥から何か崩れるような物音がした。
そこには片付けきれないダンボール箱。それが崩れたのだろう。男はそう思った。と、その時だった。奥から笑い声が聞こえてきた！
「ああっはっはっはっ……。」
「ひっ！」
甲高い男の笑い声だった。

男は管理会社に連絡し、そのことを話した。数時間後、管理会社の担当者がやってきた。担当者はクローゼットの中を調べると、その箱を見て笑い出した。
「これじゃないですか？」
箱には英語でジョークボックスと書いてあった。担当者はボタンを押す。
「ああっはっはっはっはー！」
男は思い出した。数年前、フリーマーケットで手に入れたオモチャだったのだ。男は苦笑いしながら担当者を送り返した。
「懐かしいなぁ」
そう言いボタンを押す。

「……。」
「おかしいな？あ、電池」

電池ボックスの中に電池は存在していなかった。

男の背後から笑い声が聞こえてきた。