ラストリゾート

赤い風船が割れた。ベロンベロンになった風船の残骸が、木の枝に引っかかっている。
先程まで空をぷかぷかと楽しそうに浮かんでいた風船が、今は無残な姿になってしまっている。
手を繋いだ我が子は目に涙を貯めている。このままでは、機嫌を損ねて泣き出してしまうだろう。
私は、対抗策を講じなければならない。
ソフトクリームだ。
そこの売店でソフトクリームを買うことにする。
バニラとチョコのツイストだ。我が子のお気に入り。
我が子は笑顔でソフトクリームを舐め始めた。一安心だ。
そう思った矢先。ソフトクリームの先端が地面に落下した。残されるコーン。
我が子はまた、涙目になってしまった。
この状況を打破するにはどうすれば良いか。
周囲を見回すことにした。
あるのは、風船屋、ソフトクリーム屋。
既に私が通った道だ。
私の鞄の中に何か使えるものはあるだろうか？
あった。
私は我が子に1万円札の束を100枚渡した。