神秘性をなくした流れ星

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「流星」と呼ばれる花火がある。関ケ原の戦いで、西軍の石田三成軍が佐が和山城にいる味方へ戦況を伝えるために使用したという歴史ある花火だ。滋賀県選択無形文化財となっているが、この「流星」には旧中山道周辺の集落でしか伝わっていないある秘密があった。花火が打ちあがると必ず流れ星が降るのだ。地元民は昔から大きな願い事をする際に、この花火を打ち上げてきた。
しかしある日、「流星」の秘密がネットに流出した。とある若者のSNSの投稿が拡散されてしまったのだ。すぐに有名花火メーカーとの提携が進み、「流星」が量産され全国販売された。そして、あらゆるメディアで紹介された。
が、思うようにヒットはしなかった。
簡単に見られる流れ星では神秘性も何もない。
その事に気がついたからだ。

さて。
「流星」がヒットしなかった事で、とあるメーカーの新商品がこっそりお蔵入りとなった。

その名も「全部四つ葉のクローバーの種」
ファンタジー
公開:18/06/17 23:34

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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