魔法のばんそうこう
5
93
「ハイヒールの足折れちゃったー」
JR新宿駅構内、通勤ラッシュ時の中OLは嘆いた。
誰か助けを呼びたくても、通りすがる人達はみな鬼の形相だ。
働きすぎる日本人の姿をよく表していて、みな見て見ぬふりをする。
「今日はツイてないな、こういう時に王子様が助けてくれたらな」
淡い妄想劇が構内の足音によって掻き消される。やはり願いは叶わないのか。邪魔にならない所へ移動し、次の対策を考える。自宅へ戻るかどうすべきか。
その時ふと前を見ると小学校3年生ぐらいだろうか、私の方を眺めている。イライラしていたので、無視していると
「お姉ちゃん。このばんそうこう貼ったら直るよ」と言い、
ばんそうこうを渡して去っていった。
私は一瞬ぽかんとしたが、ゆっくりと笑顔になる。ハイヒールは直らないが、少年は私の心をなおして笑顔にしてくれた。
願いは突然叶えられる。そう突然に。
JR新宿駅構内、通勤ラッシュ時の中OLは嘆いた。
誰か助けを呼びたくても、通りすがる人達はみな鬼の形相だ。
働きすぎる日本人の姿をよく表していて、みな見て見ぬふりをする。
「今日はツイてないな、こういう時に王子様が助けてくれたらな」
淡い妄想劇が構内の足音によって掻き消される。やはり願いは叶わないのか。邪魔にならない所へ移動し、次の対策を考える。自宅へ戻るかどうすべきか。
その時ふと前を見ると小学校3年生ぐらいだろうか、私の方を眺めている。イライラしていたので、無視していると
「お姉ちゃん。このばんそうこう貼ったら直るよ」と言い、
ばんそうこうを渡して去っていった。
私は一瞬ぽかんとしたが、ゆっくりと笑顔になる。ハイヒールは直らないが、少年は私の心をなおして笑顔にしてくれた。
願いは突然叶えられる。そう突然に。
その他
公開:18/06/17 23:23
ログインするとコメントを投稿できます