虹翔ける夜

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七夕の夜。私はたくさんの人々と一緒に夜道を歩いている。浴衣を着たカップルもちらほら。皆、同じ方向へ歩いていく。

湖のほとりに人が集まった。湖の中央に浮かぶ小島には枯れた木が一本生えている。

時刻になるとそれまでの喧騒がおさまり、皆目を閉じて手を合わせた。
と、微かな歓声があがり、皆の頭上に色とりどりの光の玉が浮かんだ。私の上にも白色の光玉が一つ。
光の玉は枯れた木に集まり、先ほどまで見窄らしい姿だった木は七色に光る願いの木へと姿を変えた。
やがて願いの木に集まった光玉はめいめい光の柱となって、頭上を流れる天の川に吸い込まれていった。

湖に集まった人々は来た道をまた戻っていく。私も皆と一緒に歩く。視界の遠くで、夜空を虹が翔けた。ひとつ、またひとつと。
皆、なにを願ったのだろう。私は毎年迷ってしまうのだが、結局いつも同じ願いになってしまう。

「この美しい世界がいつまでも続きますように」
ファンタジー
公開:18/06/17 22:19
更新:18/06/17 22:26

小狐裕介

作家としてショートショートや短いお話を書いています!

作品集「3分で"心が温まる"ショートストーリー 」(辰巳出版)発売中。
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光文社文庫「ショートショートの宝箱」に「ふしぎな駄菓子屋」収録。
幻冬舎「未来製作所」に「砂漠の機械工」他収録。

最近はYouTubeも頑張っています!

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