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「お、七夕。」
帰り道、商店街に笹があった。『ケーキ屋さんになりたい』『おかねもちになりたい』、子どもの字で短冊に願い事が書かれていた。
「ユキジ、俺たちも書こうぜ、童心にかえって!」
隣にいたアキラは無邪気に言った。
「仕方ないなあ…。」
さて、どんな願いを書こうかな…。
12歳、僕の隣にはいつもアキラがいた。
「夢はでっかく、世界征服か!」
13歳、僕はアキラを太陽だと思っていた。
「バカじゃないの…」
14歳、僕はアキラのことが好きだと気がついてしまった。
「っしゃーできた!『世界征服』!ユキジは?」
「…」
『好きな人の隣にいるのが、僕でありますように』
「…思いつかなかった」
僕はその短冊をゴミ箱に捨てた。
どうか、いつかあなたと美しい景色を歩く人が、僕じゃなくても、いい。そう思えますように。許せますように。
願いを込めて。
15歳、平成最後の夏。
帰り道、商店街に笹があった。『ケーキ屋さんになりたい』『おかねもちになりたい』、子どもの字で短冊に願い事が書かれていた。
「ユキジ、俺たちも書こうぜ、童心にかえって!」
隣にいたアキラは無邪気に言った。
「仕方ないなあ…。」
さて、どんな願いを書こうかな…。
12歳、僕の隣にはいつもアキラがいた。
「夢はでっかく、世界征服か!」
13歳、僕はアキラを太陽だと思っていた。
「バカじゃないの…」
14歳、僕はアキラのことが好きだと気がついてしまった。
「っしゃーできた!『世界征服』!ユキジは?」
「…」
『好きな人の隣にいるのが、僕でありますように』
「…思いつかなかった」
僕はその短冊をゴミ箱に捨てた。
どうか、いつかあなたと美しい景色を歩く人が、僕じゃなくても、いい。そう思えますように。許せますように。
願いを込めて。
15歳、平成最後の夏。
青春
公開:18/06/17 01:00
更新:18/06/17 19:41
更新:18/06/17 19:41
なんだか、ぼちぼちとしています。
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