ウィッシュレット

「願いを叶えたければ尻を洗え」
驚いた僕は尻餅をついた。
「今の痛そうだな。ヒップバーンってな！」
便座が笑った。
「坊主、ラッキーだな。私は願いを叶える便座の神である。紙ではないぞ」
ママと買い物にきたデパートのトイレにその変な神様はいた。
「まずは尻を清める必要がある。さぁ、尻を出せ。ヘイ、尻！」
ママのトイレは時間がかかるから大丈夫。ズボンを下ろして座ると僕のお尻は洗われた。
「尻アルナンバー認証完了。さぁ、大きな声で願いを！」
「恥ずかしいよ」
「安心しな。音女で消してやる」
願いを思いついた。
「女子トイレを増やしてください！」
便座が黙った。
「え、え、偉い！そのケツ意、気に入った。叶うように水洗、いや、推薦してやる」

こうして、女子トイレは増え、各所の行列は解消された。
今も女子トイレには彼の偉大な功績を讃えた名残がある。
温水洗浄便座に彼の名前からとった「ヒデ」ボタンが。