万華鏡列車

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いつもの終電の最後尾。仕事優先席に座っていた俺。隣の車両から賑やかな声がして、覗くと景色が傾いた。
そこは豪華な内装の美女専用車両だった。仕事の鬱憤を晴らそうと俺は美女達と酒を飲んだ。用を足そうと隣の車両へ移ると再び、景色は傾いた。
真っ暗な車両はひどく寒い。座席も吊革もなく、床で乗客が寝る弱者冷遇車両だ。漠然とした不安を覚えた俺は先を急いだ。
隣は朝の満員電車。俺は高校生でそこには毎朝、見かける彼女の姿が。イヤフォンをした他校の彼女と話したい、当時の小さな願いだったっけ。今日こそは。彼女は隣の車両へ移り、後を追った。

「終点ですよ」
なんだ、夢か……。降車すると先頭車両にいた。
あれっ?今の女性は。前を歩く女性に思わず声をかけた。イヤフォンを外し、女性は振り向く。
きょとん、怪訝、思案、彼女の表情は豊かに変化し、最後には笑った。
終点は始点となり、俺の進むレールの切り替わる音がした。
ファンタジー
公開:18/06/17 12:08

そるとばたあ( 神奈川 )


☆そるとばたあの400字SSは、『ミュージシャンが曲を作るように物語を描く』をコンセプトとしております。
ことば遊びと文章のリズムにこだわり、音を体感できる物語に挑戦中です!


☆拙作のプレイリストを選んでいただきました!
気になられた方は、↓の過去作品も一緒に楽しんでいただければと思います!




【This is そるとばたあ selected by むう】

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・七バッター
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