癌治療

医療の発達するのは人にとり良いことだ。医療は発達し続けた。不治の病と言われた癌も、今や虫歯と変わらぬ病気。昔なら癌で死んでいたろう人も治療され、生き永らえる。それが何代か続くうち、結果として現代人は癌になりやすくなっていた。だが治るのだ。なにも問題はない。

さて、ここに一つの病院がある。この病院は癌治療についての評価が高く、切除、レーザー、投薬、等々の治療を受けるため多くの患者が来る。なんとか、回ってはいるものの、切除一択の癌患者が多く、これが院長の頭を悩ませていた。
「あぁ、巨大な腫瘍を抱えてやってくる患者が多すぎる。切除後の処理も面倒なのに」

ある日一人の男が訪ねてきた。切除後の腫瘍を裏で売ってくれないかという。細かく面倒な取引は出来ないというと、全て買い取るという。院長は取引に応じた。

「しかし、おたくの会社が一体何に使うのですか」
「いやね、安い家畜の飼料を探してたんです」