結魂指輪

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その昔、夫婦となる二人は相手の血を注いだ指輪を左手の薬指に身につけるという風習があった。
健やかなる時も病める時も、喜びも悲しみも痛みすらも分かち合うための儀式だった。
若くして結婚した男女がいた。
二人は互いの血を注いだ指輪を片時も離さずに身につけていた。
ある時、国に戦争が起こった。
男は国と愛する女を守るため戦った。遠く離れた戦場で、決死の覚悟で戦い、傷つき、そして又、戦いに明け暮れた。
1年後、戦争が終結し、男は故郷に戻った。
そして初めて、愛する女が亡くなっていた事を知った。
女が亡くなった日は、男が戦いで大怪我を負い、九死に一生を得た日と同じ日だった。

喜びも悲しみも痛みすらも…。

女は男の痛みを分かち合ったのだった。しかし男が耐えられた痛みに、女は耐えられなかった。男は女の墓に結魂指輪を捧げて悲嘆に暮れた。
しかし、彼の悲しみを分かち合ってくれる者は、もうこの世にいない。
ファンタジー
公開:18/06/14 21:27

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ショートショートって難しい。
最初の頃は400字は短すぎるなんて思ってましたが、色々書くうちに400字に無限の可能性を感じるようになりました。

読んだ人の心が少しでも動いたらいいな。何かを感じてくれたらいいなと思って書いてます。

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