塔京

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おれは「塔京」に住んでいる。
この巨大な塔は、噂によると数百の階層の街に分かれているという。
おれの元々いた所は、ここよりも数十階下の街だったが大した違いはない。
どの階層も同じような街の風景が広がっているだけだ。
ただ何ヵ所か、変わった街もあった。
「秋歯腹」は街中の人間がたえず豚バラ肉を食べていた。
ずっと大笑いしている女たちの住む「吉笑」では、おれも一緒に大笑いして過ごした。
ちょっと怖かったのが「神亡町」だ。赤い鳥を投げつける赤の祭りの時期にきたのが悪かった。
だがどの階層の街も、身の危険を感じることはなかった。
おれは上へ上へと昇る。
いったい屋上には何があるのだろう。
そんな思いにかられ、数十の街を登ってきた。
旅を続けて数年の月日が過ぎ、ようやく最上階まで辿り着いた。

おれは最後の階段を昇り、屋上に出た。
無限に広がるその空間には、ただ「光虚」という看板があった──。
SF
公開:18/06/14 19:03
更新:18/09/18 08:24

渋谷獏( 東京:関西人 )

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