数学者の願い事

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昔々、秘かに営む数学の研究所がありました。

「1,2,3…。ついに完成したね。自然な数、自然数だ」
「でも所長、2-1は計算できますが、2-2は計算できません」
「それなら0を数に加えよう」
「2-3もできません」
「では負の数を加えよう。…-2,-1,0,1,2… これらを整数としよう」
「3÷2もできません」
「2分の3とし、有理数だ」
「正方形の対角線は?」
「ルート2などとし、無理数だ。今までの数を全部まとめて実数としよう」
「でも…」
「まだあるのかい?」
「2回掛けてマイナスになる数は?」
「そうか。ではiという数を創ってしまおう。i×i=-1。虚数だ」
「所長、今更ですが、こんなことやって何の役に立つのですか?」
「それはね、確かに今は役立たないが、いつかは必ず役に立つ。それが我々の切なる願いなのだよ」
「わかりました、所長」

ようやく現代、数学者の願いは叶えられました。
ファンタジー
公開:18/06/15 21:07
更新:18/06/15 21:20
数学 算数

数理十九

第27回ゆきのまち幻想文学賞「大湊ホテル」入選
第28回ゆきのまち幻想文学賞「永下のトンネル」長編佳作
一期一会。
気の向くままに書いては、読んで、コメントしています。
特に数学・物理系のショートショートにはすぐに化学反応(?)します。
ガチの数学ショートショートを投稿したいのですが、数式が打てない…
書こうと考えてもダメで、ふと閃いたら書けるタイプ。
最近は定期投稿できてないですが、アイデアたまったら気ままに出没します。

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