七月七日の夢

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毎年七月七日、夢で女の子と出会う。目覚めるといつも夢を忘れてしまう。
どれくらい前からこの夢を見ているのだろう。女の子はいつだって同い年に見えた。夢の中で二人は遊んだ。夢だからどこへでも行けた。海底や雲の上も。そして隠れんぼをする。女の子は鬼が得意だった。
今年は女の子が「現実でも会いたい」と言う。女の子はセーラー服を着ていた。
「夢を、覚えてるの?」
「…ううん。でも会ってみたい」
女の子に手を引かれ天の川へ昇る。辺り一面に星が光り、水の流れる音がした。
「七夕だから、お願い事しよう」
向かい合わせになり、願いを込め手を握る。その時、白鳥が頭上を飛んでいき、白い羽が二人の間に揺れ落ちた。

「見いつけた」
駅のホームに立ってると反対側でセーラー服の女の子が叫んだ。知らない子だ。
僕の所まで来た女の子の髪に、小さな白い羽がついていた。僕はその羽をとり、向かい合わせになって、彼女の手を握る。
青春
公開:18/06/15 19:44

砂塵

読んでいただきありがとうございます。
話のおもしろさ云々はひとまず置いといて、とりあえず一本完結させることを重視して書いてます。
朗読ラジオ「月の音色リスナー」です(^o^)/
低浮上中なのでコメント返し遅れるかもですが必ずお返しします。

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