駅前の何様

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最寄駅からすぐの蕎麦屋の隣にあるゴミ置場の少し先にその人は居た。

名前は知らない。ただ、路上占い師の様な体裁で小さな机と椅子を出し座って
目の前を通りゆく人々に一言声をかけるのだ。

ちなみに、全員が声をかけられる訳ではなく、選ぶ基準は定かでは無いが
私は現在100%という驚異の確率で声をかけられている。

最初は確か「閃きを疑うな」だった気がする。
その後も「親を何だと思っている」「いつまでも膝が曲がると思うな」など
あんたは一体何様なんだ、と言いたくなる様な上からかつ、私の何を
知っているのかと問いたくなる様な物言いなのだ。

そして今日もまた、私はあの「何様」の前を通る。
後数歩で彼の前だ。そう思った時ポツリと雨が降って来た。
手のひらで雨を受ける仕草を取っていると、小さな声が聞こえた。

「いよいよ時代が追いついたな」

だから、あんたは何様なんだ。

でも何か、ちょっと嬉しい。
公開:18/06/13 20:39

二十一 七月

にそいち なづき

まずは100話お話を作るのが目標です。

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