福痛

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イタタタタッ…。
会社で腹部を押さえ、顔をしかめていた私に同僚はある病院を勧めてくれた。


「最近、腹部が痛むことが多いんですが…」
そう問う私を初老の医者は笑い飛ばした。
「なんの問題もない、ただの福痛ですよ」
「え?」
医者は紙に“福痛”と書き、戸惑う私に見せた。
「福痛?」
「お嬢さん、最近いいことあったでしょう?」
確かにいいことがあった。3年付き合った彼氏からプロポーズされたのだ。
それを告げると医者は笑い皺を深めた。医者によると人間には身体の不調を表す腹痛と、人生の好調を表す福痛があるらしい。
「結婚はお嬢さんにとっていいことみたいですね。いい相手に巡り合えたようでよかった、よかった」

あの日、病院に行ってから数ヶ月。
私はまだ福痛に悩まされている。
しかも、以前よりもひどいのだ。
でも、その理由はわかっている。


明日は結婚式なのだ。
公開:18/06/13 17:56

すみれ( 群馬県 )

書くこと、読むことが大好きな学生です。
青空に浮かぶ白い雲のように、のんびり書いています。
どうぞよろしくお願いします!

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