諸人よ共にあれ

6
10

「ともに讃美歌を」

彼は屋根の上に座り、流れ星を見るたび、そう願った。
彼はある博士の失敗作だった。ちぐはぐな肉体、飛び出そうな眼球。村の誰もが彼を見て悲鳴をあげた。そのたびに傷つき、いつしか山奥でひっそり暮らすようになった。彼の唯一の楽しみは、教会から聞こえてくる美しい讃美歌だった。流れ星は神に願いを届けてくれたに違いない。彼はそう信じ教会の扉を開けると、それは打ち砕かれた。罵倒する者、銃を向ける者、牧師さえも、彼に非難の目を向けた。彼はあきらめ、扉から出ようとしたその時、
「待って」
少女が彼の前に立った。
「牧師さま。命あるものは全て、神の子ではありませんか、彼は私たちの仲間なのです」
牧師はハッと我に返り、彼をオルガンの前に立たせた。奏でるオルガンに少女と彼が歌い始めると、人々は彼を囲み讃美歌を歌い始めた。彼は、はじめて優しさと幸せに包まれた。

村に家が建てられた。彼のものだ。
ファンタジー
公開:18/06/13 17:52
願いごと 讃美歌 流れ星

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。
お笑い系のショートショートを中心に書いていきたいと思いますので、よろしくです(^^)。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容