大切なワゴン
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おばあさまはハイカラな人だった。彼女が「お茶にしましょう」と言ったときは、必ず紅茶とシフォンケーキが用意されていた。お茶のセットとケーキをバラの彫刻がされた木製ワゴンに乗せ、テラスに運んでいく。カタカタと音をさせながら進むワゴンに遅れないよう、部屋から飛び出す私たち。おばあさま特製のシフォンケーキに舌鼓を打ち、ミルクティーを手に談笑するのだ。
おばあさまが天に召された後、私がお茶の係になった。「お茶ですよ」みんなに声をかける。少し焦げてしまったクッキーをワゴンの上に置く。すると不思議なことに、焦げの無い美味しそうなクッキーに変わる。『焦げてたらお茶が美味しくないもの、ふふふ』おばあさまの声が聞こえる。クッキーと紅茶セットを乗せ、カタカタとワゴンを押す。みんなが揃ったらティータイムの始まり。
庭に咲くおばあさまの好きだったバラを眺めながら、おばあさまのシフォンケーキを懐かしむのだった。
おばあさまが天に召された後、私がお茶の係になった。「お茶ですよ」みんなに声をかける。少し焦げてしまったクッキーをワゴンの上に置く。すると不思議なことに、焦げの無い美味しそうなクッキーに変わる。『焦げてたらお茶が美味しくないもの、ふふふ』おばあさまの声が聞こえる。クッキーと紅茶セットを乗せ、カタカタとワゴンを押す。みんなが揃ったらティータイムの始まり。
庭に咲くおばあさまの好きだったバラを眺めながら、おばあさまのシフォンケーキを懐かしむのだった。
その他
公開:18/06/13 03:57
不思議な言葉
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