10
96
彼が私を見つけてくれた。「可愛い」と言って抱きしめてくれた。少しだけど一緒に楽しい時間を過ごした。
なのに今、「ごめんね」という言葉を残して去っていく彼を私は黙って見つめている。
やっと出会えたのに。
ずっとその笑顔を待ってたのに。
お願い。
待って。
行かないで。
ずっと一緒にいたいよ。
好き。
大好き。
私がいくら叫んでも彼の耳には届かない。彼が去っていくのを、見つめることしかできない。
彼が視界から消えてしまっても、私は動けなかった。彼が走って戻ってくる気がして。息を切らして戻ってきて、「ごめん!」って言って、もう一度、抱きしめてくれる気がして。
動けなかった。
動いてしまったら、彼が戻ってきた時に私を見失う気がして。
動けなかった。
いくら泣いても、彼が…あのランドセルの男の子が戻ってくるはずもないのに。
私はダンボール箱の中で泣くことしか出来なかった。
「ニャア…」
なのに今、「ごめんね」という言葉を残して去っていく彼を私は黙って見つめている。
やっと出会えたのに。
ずっとその笑顔を待ってたのに。
お願い。
待って。
行かないで。
ずっと一緒にいたいよ。
好き。
大好き。
私がいくら叫んでも彼の耳には届かない。彼が去っていくのを、見つめることしかできない。
彼が視界から消えてしまっても、私は動けなかった。彼が走って戻ってくる気がして。息を切らして戻ってきて、「ごめん!」って言って、もう一度、抱きしめてくれる気がして。
動けなかった。
動いてしまったら、彼が戻ってきた時に私を見失う気がして。
動けなかった。
いくら泣いても、彼が…あのランドセルの男の子が戻ってくるはずもないのに。
私はダンボール箱の中で泣くことしか出来なかった。
「ニャア…」
恋愛
公開:18/06/13 22:29
更新:18/06/14 07:28
更新:18/06/14 07:28
月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。
ログインするとコメントを投稿できます