夢は夢のまま。

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彼は、やっと、やっと、念願の宝物を手に入れた。

何でも願いを叶えてくれるそのアイテムは、例えるなら魔人のランプ、七つの竜の玉、そんな夢のようなお宝。

小さなオルゴールの蓋を開けると神秘的な音楽が流れ出し、美しい妖精が現れた。

「願いを、ひとつ叶えてあげましょう。」

そして彼は、人生の中でどうしても叶えたかった大きな夢を、叫んだ。

この夢を叶える為に生まれてきたのだと思うくらい、愛して、憧れていた。夢が自分の力では叶えられそうもない事を思うと、辛くて、悔しくて、幾晩も枕を涙で濡らして来た。

もう、願うしか無かった。そして、彼は夢のオルゴールを探す事に残りの生涯を賭けたのだ。

しかし、現実は残酷なもの。
妖精は言う。

「残念ですが、その願い事はあなたの残りの命では叶えるのが難しいようです。」

オルゴールの音色が途切れた。
真っ白になった頭を抱えて、彼は静かに崩れ落ちた。
ファンタジー
公開:18/06/12 05:55
更新:18/06/12 06:00

イロハマイ( トーキョー )

普段は曲を作って歌ってます。
妄想と空想が好きです。

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