水(副題:こうかい)

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 紅海で航海して後悔した。
 実は後悔した原因に紅海はそこまで関係ないかもしれない。退職を願い出る時を誤ったのだ。碧く美しい海も甘い潮風も圧倒的に砂漠の海岸線も素敵だ。喉が渇いている。
 私は一等航海士である。
 船員には私や船長など日本国籍の人間以外にマレーシア国籍インドネシア国籍と様々な国の人間がこの船に乗っている。しかし今の私は身動きが取れない。縄で縛られ、両手持ちの銃をもったアフリカンの少年に見張られている。
 交渉はどうなっているだろうか。船長は大丈夫だろうか。
本社との交渉が難航しているようだ。きっと海賊の要求額が大きいのだろう。海賊たちは皆若そうだった。恐らく相場以上の額を要求しているに違いない。海賊に相場というのもおかしな話だが。

 コツコツコツと足音が聞こえてきて扉が開かれる。交渉が終わったのか。しかし若いアフリカンがもってきたのは食料と水の入ったペットボトルだった。
公開:18/06/11 22:11
月の音色・月の文学館投稿作品

ひさみん

ショートショートというよりも短編小説、掌編小説という感じになってしまうかもしれません。
自分のペースでやっていこうと思っております。
ショートショート・ガーデンにアクセスする頻度は高くありません。
1回のアクセスで多くても10作品見るかどうかです。すみません。

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