願い事くじ引き

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 今年もまた七夕の日がやって来た。
 神様たちは天界に集まり、短冊に書かれた願い事をかなえるかどうか決める。方法は単純で、くじ引きである。集められた短冊を一つの箱に入れ、くじのように引いていくのだ。くじ引きの回数は決められており、その回数の中で箱から引かれた願い事がかなえられる、という仕組みである。
「よし、これで最後だな」
 神様のうち、一人が箱から一枚の短冊を取り出す。そこには幼い字で『せかいがへいわになりますように』と書かれていた。
「おお、よかった」
「これで同じ願い事は四つめ。なんとか今年も無事に終えることができましたね」
 この願い事くじ引きには特殊なルールがある。相反する願い事が出た場合は、短冊の多い方の願い事をかなえる、というルールである。
「でも、来年あたりは危ないかもね」
 神様たちは『世界が滅びますように』と書かれた三枚の短冊を見て、ため息をつくのだった。
ファンタジー
公開:18/06/11 20:41
更新:18/06/13 08:31

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