さよなら、臆病なわたし

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バイト中、男性客から一枚の写真を受け取った

部屋に戻り、写真を眺める
高校の体育祭で私を写したものだ
運動部だった私は、リレーの代表に選ばれた
表情から緊張感が見て取れる
その構図が素晴らしい

翌年、大学へ進学した
そして、就職をし、幾つめかの恋の終わりと共に仕事を辞めた
あっと言う間の出来事

あれから数年
いつしか恋に臆病になっていた

そして、コンビニのバイトをはじめた
繰り返す日常

あの時、お礼を言えなかったのが悔やまれた

彼から一緒に買ったばかりの雑誌も渡され、今はカメラマンだと言っていた
ページをめくり、それらしい写真を見ると小さな文字でカメラマンの名が書かれていた

体育祭の写真を撮れるなら、同じ高校だろう
高校に行けば彼の連絡先が解るだろうと見当をつけた

モノクローム写真をスマホで撮影する

そして、美容院に電話してカットの予約を入れた
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公開:18/06/12 19:43

海山 道三

ペンネーム
海山 道三
みやま どうさん

「文章千本ノック」の一環で超ショートショートを投稿させていただきます

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