夢の摘蕾。(ゆめのてきらい)

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──ち。ち。ち。ぷつり。

赤い花。青い花。白い花。

──噫。なんて美しいんだろう。
──噫。なんて馨しいんだろう。

先人たちが咲かせた、夢の大輪。

人が咲かせた花を、憧れ愛でるも楽しいが、私はいつの頃からか、自分の花を咲かせてみたいと思っていた。

──私が咲かすべきは、この蕾。

唯これ一つだと信じ、一生を費やすのだ。
大きく咲かせる為、一輪にのみ愛と栄養を注ぐ為。
他の蕾は摘み取ってしまわねばならない。

──ち。ち。ち。ぷつり。

──キ。キ。キィ。

選ばれなかった蕾たちの悲鳴を聴きたくなくて、手早く摘蕾を済ませる。

──漸く終わらせた途端、日が陰り黒々とした不安に駆られる。
──摘み取ってしまった蕾の中に『本当の花』があったかもしれない。

私は蕾の前にひざまづき、祈るように呟いた。

──どうか、この蕾が「私の花」でありますように。

涙がひとしずく、土に還った。
その他
公開:18/06/10 18:52
更新:18/06/10 22:11

椿あやか( 猫町。 )

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