rendezvous 

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今日は七夕だ。
これから僕は初恋の相手に会いに行く。
彼女に初めて出会ったのは子どもの時。
いつも温かくて優しくて、たとえ話が出来なくても彼女を見ているだけで僕は元気になれた。
七夕になるといつも星にこうお願いをしたんだ。「いつか彼女とデートしたい」ってね。
彼女は容姿端麗で哲学や芸術、科学を好んだ。
彼女に見合う男になるためには多くの教養を身につけなければならないことに気づき僕も必死に勉強をした。
あれから二十年。ようやく彼女とのデートにこぎつけた。
「タカシ、緊張してるのかい?」
ジャンが言った。
「もちろん。僕の初恋の相手だからね」
「おお、熱いね。しかし、それを言うなら俺たちみんなそうさ。彼女に惚れない男なんていない」
「うん」
「さあ、ランデブーだ!」
Three, Two, One. Lift Off !
今、僕たちを乗せたロケットが発射された。
初恋の相手、月に向かって。
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公開:18/06/10 17:31
更新:18/07/01 19:17

杉野圭志

元・松山帖句です。

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