神使のお仕事

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七夕の時期になると巨大モールの吹き抜けに大きな竹が飾られ、この地域の幼稚園や小学校から集められた短冊が鈴なりになる。まるで竹に実った色とりどりの果実のようにも見え、通り客の目を楽しませていた。
「はぁ…今年も沢山あるわね」
その傍らで大人びた溜息をつく小学生ぐらいの女の子。実は、神の地、高天原からの神使である。
古より神々は幾千幾万の短冊の中から気まぐれに数枚選び、その願い事を叶える。まあ、宝くじみたいなものだが、神使たちの仕事は願い事を方々から集め高天原に持ち帰ること。
「よしよし、みんなしっかりと書いてあるわね」
遠読みと速読みの能力でそれらをスマホに打ち込む。
「便利ね。これ」
筆書きでいちいち写していた時代もあった。
「ふー…やっと終わった」
ふと客用に置かれた短冊に目を留めた。
わたしも一つくらい書いてもいいかな?
[来年もこの仕事ができますように]
こっそり短冊を一つ結んだ。
ファンタジー
公開:18/06/10 03:55
更新:18/06/17 23:53

Kato( 愛知県 )

ヘルシェイク矢野のことを考えてたりします
でも生粋の秦佐和子さん推しです

名作絵画ショートショートコンテスト
「探し物は北オーストリアのどこかに…」入選

働きたい会社ショートショートコンテスト
「チェアー効果」入選

ありがとうございます

 

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