メダカの学校

3
112

定年して寡黙な男の趣味は
庭の木や花の手入れと

小さな睡蓮鉢に暮らす
メダカに夢中だ

たかがメダカ されどメダカで
高級な種類だと一匹に1万円以上の値段がつくものまである

男は特に珍しいメダカを飼っていた

ある日 いつものように
メダカの世話をしていると

「おや これはとても 珍しいメダカですな

是非 少しお譲り頂けないだろうか」

しかし男にとってはメダカとはいえ 家族と同然

ましてや知らぬ他人には譲れない

それから3日後 いつものように
餌を与えに行くと 睡蓮鉢ごと
メダカが居なくなっているではないか

男は室内に戻ると 外に向かって「ピピー」とホイッスルを吹いた

すると遥か男の家から持ち出された
メダカ達が 自らシャボン玉の要領で丸い水玉を作り
列を成して家に戻り始めた

そう 男は元は体育の先生
今はメダカを訓練して
学校を作るのが彼の趣味だ
SF
公開:18/06/11 16:36
更新:18/11/17 00:30

春星( 神奈川県 )

春星と申します

自宅では一児の親
職場では会社員

そして通勤電車の中では
自称ショートショート作家に
大変身‼︎

長い冬眠から目が覚め
久々に復帰しました
また皆様宜しくお願い致します!

 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容