たんぽぽの綿毛

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「お前はどこから来たんだい?」
突拍子も無く、ソレは私に声をかけてくれた。
しげしげと私を見下ろすと、ソレは立ち去った。
「確かに、あなたここらじゃ見ない顔ね。どこの落とし胤?」
「知らないわ」
「そういうもんよね、私も一緒。よろしくね」
隣の彼女が明るく笑う。ソレたちの視線で不安になっていた私の心が、温かく開いたように感じた。
それから、春や夏を彼女と過ごした。彼女と浴びる日差しは暖かく、雨は憩いの音をさせた。正体のしれない私を受け入れ、彼女はそばに居てくれた。
けれど最近の彼女はすっかり元気がなくなり、美しいブロンドはまるで老婆のような白髪に変わってしまった。
「ずっと一緒にいようね」
不安げにそう話す私に、彼女は穏やかに笑った。
「いるわよ、ずっと」
だけど彼女は行ってしまった。青空向こうに飛んで行った。私はただ見送って、一人風に吹かれていた。
一人でも平気だよ。
貴女の隣だもの。
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公開:18/06/11 15:21
更新:18/06/13 08:01
路傍の花たち たんぽぽとおだまきの百合

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
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『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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