お餅デリバリー

俺は最近跡を継いだばかりの餅屋の倅だ。今日もオフィス街へと稼ぎに来ている。

目的のビルに着いた後、案内されて俺は一つの会議室へ。そこには立派なスーツを着たビジネスマン達がずらり。
「臼と杵、それと餅米をお持ちしました」
「おぉ、来たか。それでは昼休憩といこうか。そうだな、田中くんと山田くんがまずはついてみたまえ」
「はい。宜しくお願いします、山田さん」
「若いもんには負けんぞ。昔取った杵柄というのを見せてやろう」

会議室にて餅つき大会が始まる。二人のかけ声が響き渡る。ついた餅は俺が丸め、人々が美味そうに頬張る。うちの餅米を使っているのだから美味いのは当然だ。

社員同士の親睦を深めるのに餅つきは有効だ。運動にもなるため、午後からの能率もアップする。他にも他にも…との俺の売り込み努力は報われ、見事世に餅のデリバリーは普及した。
ちなみにキャッチコピーは「餅ついて話そう」だった。