短冊蝶

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とある町を散策していると、何本もの街路樹にカラフルな短冊がヒラヒラと揺れているのに気づいた。
よく見ると大きな蝶の群れだった。
「何ですか、これ?」
「短冊蝶だよ」
七夕の日、ここでしか見られない蝶らしい。
「羽を見てみな」
そっと顔を近づける。まさかと思ったが文字が見えた。
「あんたも書くといい。願い事」
どうやって?
困惑していると、男はヒョイと蝶を掴み、その羽を僕の前で広げた。
なんと指先で文字が書ける。
書き終えると蝶は再びハタハタと枝に寄り添う。
夜も来るといいと言われ、そうした。

羽を青白く光らせ明滅する蝶の群れは幻想的だった。
人々が口にする「もうそろそろだな」と。すると突然ぶわっと光の群れが膨らんだ。
夜空に向かって羽ばたき始めた短冊蝶の群れは、やがて一本の光の川筋となり星空に溶け込んでゆく。
『なつ』とだけ書かれた僕の蝶は無事に天に届いたのだろうか…
さあ、夏が始まる
ファンタジー
公開:18/06/11 01:30

Kato( 愛知県 )

ヘルシェイク矢野のことを考えてたりします
でも生粋の秦佐和子さん推しです

名作絵画ショートショートコンテスト
「探し物は北オーストリアのどこかに…」入選

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「チェアー効果」入選

ありがとうございます

 

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