星に願いを

「お星様はみんな、願い事を叶えてくれるんだよ。それぞれ違う形でね」
　小さい頃、おばあちゃんはいろんなことを教えてくれた。
「昴に願えば、仲間の願いも叶う。明星なら、一番になれる。大きいことを願うなら、流れ星。最後の力を振りしぼって叶えてくれる」
　そんな話を思い出したのは願い事があるからだ。
　わたしは隣の颯太をちらりと見た。
　わたしの気持ちも知らないで、星空を眺めている。わたしも空を見上げた。織姫星と彦星が明るく光っている。
　愛し合う二人の星。わたしの願いを叶えて。
「美月」
　颯太が真剣な顔になった。
「結婚してくれないか」
　願いが叶った！　嬉しくて思わず、抱きつくと、颯太は申し訳なさそうに言った。
「ただ、海外赴任が決まったんだ。一年間、単身赴任になるけど、構わないかな」
　織姫星と彦星は自分たちの形で願いを叶えてくれたらしい。