0
88

今、私達は列になって階段を登っている。目の前には仲良さそうな様子の男女もいる。いやいや、笑いあっている場合ではない。高所が少し苦手な私は少し恨めしく思う。
私達が一歩一歩階段を上る先では黄色い声援を長くしたような叫び声や男性のワァアアという野太い叫び声など次から次へと聞こえてくる。階段を登る毎に不安な気持ちが増してくる。
足が震えぎみの私をミチコが後ろから押して登る事を促す。「シズ、大丈夫よ。少しの間だから。きっと楽しくなるわ。」
「そ、そうよね。」
私は可愛くキャアと声を出せるだろうか。まだそんな事を考える余裕があるのだと勇気をふり絞って階段を登る。
視界が開けた。目の前に丸く黄色い入り口がある。日に焼けたポロシャツの男性が大きく手招きする。その手招きに促され一歩前へ進む。
キューブ状の下り坂はもう視界の中だ。これは水に導かれ階下へと一気に降る、そう、ウォータースライ…
「キャアァァ…」
青春
公開:18/06/08 22:10
月の音色 月の文学館

ひさみん

ショートショートというよりも短編小説、掌編小説という感じになってしまうかもしれません。
自分のペースでやっていこうと思っております。
ショートショート・ガーデンにアクセスする頻度は高くありません。
1回のアクセスで多くても10作品見るかどうかです。すみません。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容