つまらなくてかけがえのない願い

4
119

「パパ、願いごと書けた?」
僕がパパの短冊を覗き込むと「家内安全」と、たった4文字だけ書かれていた。
「つまんない。パパ、去年もこれと同じだったでしょ」
僕なんて願いごとが多すぎて1つに絞るのが大変なのに。
パパはニッコリ笑って、僕の頭をガシガシ撫でた。



「パパ、願いごと書けた?」
我が子が私の書いた短冊を覗き込んだ。
「つまんない。パパ、去年もこれと同じだったでしょ」
あの時の父の気持ちが、家庭を持った今になってよくわかる。
これほど大切な願いは他にない。
私は静かに笑って、娘の頭を優しく撫でた。
その他
公開:18/06/10 00:32
更新:18/06/12 21:33

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容