モノクローム写真の彼女
0
118
天気の良い午後
海の見えるベンチにひとりで腰掛けていた
隣に座りながら
「ちゃんとご飯食べた?」
と私の顔をのぞき込む女性
誰だったっけ?
きっと、そんな顔をしていたのだろう
彼女がスマートフォンの画像を私に見せる
モノクローム写真をスマホで撮影したのだろう
忘れるはずがない
この写真は、高校生の体育祭だ
ショートカットの少女の緊張した表情が写っている
そう、私が撮影した写真だった
手に一眼レフカメラの感触がよみがえる
その写真は、長い間コンバースの箱の中にしまわれていた
彼女は、同じ高校の二つ先輩だった
「ノリコ」
と彼女の名前を呼んだ
そう、古風な名前だ
彼女は、嬉しそうに
「あら、私のことを忘れたのかと思ったわ」
と言って微笑んだ
老人ホームに笑いが広がった
私と同じように歳を重ねた妻の手をそっと握った
海の見えるベンチにひとりで腰掛けていた
隣に座りながら
「ちゃんとご飯食べた?」
と私の顔をのぞき込む女性
誰だったっけ?
きっと、そんな顔をしていたのだろう
彼女がスマートフォンの画像を私に見せる
モノクローム写真をスマホで撮影したのだろう
忘れるはずがない
この写真は、高校生の体育祭だ
ショートカットの少女の緊張した表情が写っている
そう、私が撮影した写真だった
手に一眼レフカメラの感触がよみがえる
その写真は、長い間コンバースの箱の中にしまわれていた
彼女は、同じ高校の二つ先輩だった
「ノリコ」
と彼女の名前を呼んだ
そう、古風な名前だ
彼女は、嬉しそうに
「あら、私のことを忘れたのかと思ったわ」
と言って微笑んだ
老人ホームに笑いが広がった
私と同じように歳を重ねた妻の手をそっと握った
恋愛
公開:18/06/07 18:12
更新:18/06/07 18:50
更新:18/06/07 18:50
ペンネーム
海山 道三
みやま どうさん
「文章千本ノック」の一環で超ショートショートを投稿させていただきます
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます