郵便ポスト

幼い子供が手紙を投函しようと背伸びしていた。
人里離れた一軒家のそばに、そのポストはある。
今は亡き、おじいさんの手作りポスト。
「ゆうちゃん、誰に手紙を出すの？」
お母さんが聞くと。
「これ、おばあちゃんのかいたてがみ」
事件発覚！
足腰の弱いおばあさんは、ゆうちゃんに投函をお願いしていたのだが、それを両親は知らずにいた。
手作りポストに郵便屋さんが来るはずもない。
なのに、なぜか返事は届いていた。
ゆうちゃんの手紙など、サンタさんはおろか、白ヤギさんからすら、返事が届いていたほどだ。
今日も返事が届く。
不思議に思い、お母さんがポストを見やると、配達に来た郵便屋さんが手紙を回収していた。
「待って！」
話を聞くと、生前のおじいさんに、これは君宛てだと、ゆうちゃんの手紙をもらったのがきっかけで、配達のついでに回収していたと言う。
「実は…」
照れ笑いの郵便屋さん。
「白ヤギは僕なんです」