片思い

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高校時代、小さなスケッチブックと3Bのステッドラー鉛筆を持ち歩いていた
最初は、授業中に窓から見える景色を書いていた
それが先生となり、同級生となったのは自然な流れだ

いつの頃か、彼女の横顔を何枚も書いた
席替えで彼女が見えない席になると残念だった
恥ずかしながら、片思い
退屈な授業でのささやかな楽しみだった

古典の授業中、彼女のデッサンに夢中になっていた
偶然、そんな姿を先生に見つかってしまった
恥ずかしさのあまり私の顔は、赤らんでいたことだろう

先生は、なにも咎めず黒板に平兼盛の句を書いた


 しのぶれど 色に出にけり わが恋は

 ものや思ふと 人の問ふまで


先生が訳してくれる

>私の恋の気持ちを、誰にも知られないように
>じっと包み隠してきましたが、とうとう色に出てしまったようです。
>恋に悩んでいるのですかと、人が尋ねるほどに。

古典が好きになった
青春
公開:18/06/06 18:05

海山 道三

ペンネーム
海山 道三
みやま どうさん

「文章千本ノック」の一環で超ショートショートを投稿させていただきます

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