完璧といえるくらいの構図

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帰りにコンビニで買ったコーヒーをテーブルに置く

クローゼットを開けた
スニーカーが入っていた箱が幾つも積み重ねてある
目的の箱は、コンバースだった

高校1年の春、父からの高校入学祝いとして一眼レフカメラを買ってもらった
そして、高校3年間を写真部で過ごした
今では商業誌でカメラマンをしているので、父の投資は間違っていなかったのだろう

箱を開けると沢山のネガフィルムとプリントされた写真が入っている

高校1年生の体育祭、写真部のボクたちは競技中の写真を撮る係りだった

あの写真が出てきた
リレーの順番を待つショートカットの女性
完璧といえるくらいの構図で少し左向きの少女
表情には、緊張感が貼り付いていた

内気なボクは、被写体である彼女に渡すことができなかった
長い間、箱の中に閉じ込められていた写真を封筒に入れる

そしてコンビニに戻った

レジの女性は、写真の中より少し髪が伸びていた
青春
公開:18/06/06 15:12
更新:18/06/06 19:10

海山 道三

ペンネーム
海山 道三
みやま どうさん

「文章千本ノック」の一環で超ショートショートを投稿させていただきます

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